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訪問レポート 健康経営 元気!つくってますVOL.1

日本航空健康保険組合

「自分の健康をデザインできる人」
になってもらうのが目標です
いま、社員の心身の健康は企業経営の最重要課題になっています。社員の健康づくりを支援することこそが経営にプラスになる、という考え方が主流になりつつある背景には、近年の「データ分析に基づく保健事業」(データヘルス)の普及があります。
国の「データヘルス計画」に先駆けて「健康推進プロジェクト」を立ち上げ、国のモデル実施事業者にも選ばれているJALの健康保険組合を訪ねました。
「女性の健康」は会社の経営にかかわる重要課題
会社と健保がタッグを組みました
――私たちが御社の健康保険組合の取り組みに関心をもったきっかけは、産婦人科医の対馬ルリ子先生のウィメンズヘルスのご講演に続いて、浦井さんが健康保険組合として婦人科健診受診率を上げるさまざまな工夫をされているという発表をされたときでした。女性の健康に使命感をもっていらっしゃると感じました。
浦井JALグループは女性社員の割合が平均よりも高い会社です。空港スタッフやキャビンアテンダントなどシフト勤務者の女性も多いですから、そういう社員の健康管理は会社の経営にかかわる重要な課題であるということは、会社側と健保の共通認識として早くから一致していました。
2012年に会社と健康保険組合が協力して「JAL Wellness 2016」という5年計画の健康推進プロジェクトを開始したのですが、そのなかでも女性特有の健康課題とそのための健診受診率アップの目標を、はっきりと打ち出しました。
プロジェクトを始めた当初は、女性社員自身に健診は面倒だという雰囲気がありました。「今は目の前の仕事や環境を乗り越えていくので精一杯、いつかは結婚して子どもも欲しいけれど、それはまだまだ先のことだから、そのときになったら考えればいい」という感覚があり、「女性のがん」(乳がん、子宮がん等)健診の受診率も低かったのです。データヘルスという考え方もまだ一般的ではなかったころだったので、まずは現状の自分たちのからだがどうなっているか、年代ごとにどういったリスクイベントがあるかということを知っていただくことからのスタートでした。

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――健康情報の提供ですね。セミナーなども積極的に行われているようですが、そういうものに参加してもらうのにも、工夫が必要ではありませんでしたか。
浦井そうですね。やはり講義型のセミナーだけでは、忙しい勤務のなかで参加してもらうことが難しいので、「この先生のお話なら聞いてみたい」と思ってもらえるような講師の方をお呼びする。セミナー後にヘルシーランチをいっしょにとりながら、トークセッションを行うなど、ちょっとしたイベントを企画して、プラスアルファの楽しさを感じられるようにしました。
――セミナーには男性社員の参加もあるようですね。
浦井女性の健康についてのセミナーなのですが、私は男性社員にも知っていただきたい、同僚やご家族のために、ぜひ参加してくださいというメッセージを出し続けています。
男性にとって女性の健康というのは、触れてはいけない話題という気持ちになりがちですが、男性と女性ではホルモンの違いがあるので、どうしても仕事のやり方や考え方が違ってきます。そこをお互いに理解しあわないといい仕事はできないですよね。また、ご自身の家族、奥さまや娘さまのことを考えていただければ、無関心ではいられない問題だということをわかってもらえるようになってきたと思います。
「JAL Wellness 2016」は会社と協同のプロジェクトなので、トップクラスのマネジメント層も参加しています。このようにマネジメント層の意識が変わるにつれて少しずつ男性の参加も増えてきました。

「女性のがん」健診の受診率をあげる―――
男性社員のご家族に向けても様々な工夫をしています
――プロジェクトを通じて、女性のがん健診の受診率をあげることを目標にされてきたということですが、受診率をあげるためのコツのようなものがあったらお聞かせいただけますか。
visit-01浦井そうですね。「行ってみようかな」「行ってみたいな」と思えるような、健診を受けに行くための動機づけを、いろいろと考えています。
ひとつは場所の工夫です。シフト勤務者がシフトの前や後に立ち寄れるようにするために、職場に健診会場を設けること。OBの方や奥さまたちが誘いあって行けるように、レジャー施設など、健診のあと少し遊んで帰れるような場所で行うこと。女性専用の健診機関と連携してJAL健保の方の貸切デーを設けていただくこと。小さいお子さんを育てている方が健診を受けやすくするために、社宅で週末に行うこと。空港見学を兼ねて来られるように託児つきのキッズスペースを用意すること(成田空港)などです。
また、健診を受けることに伴うお得感も考えています。健診を受けると同時にからだの歪みチェックが受けられるとか、肌年齢チェックの無料チケットなどのちょっとしたプレゼントがもらえるなどですね。
また、社員経由でお渡ししていた健診のご案内が確実にご家族の手元に届くように、現在は健保から直接郵送をするようにしています。
――女性社員の方はもちろん、社員のご家族がいかに健診を受けに行きやすくなるかを考えていらっしゃるんですね。健康面からの家族支援ですね。
浦井ご家族のことまで直接関与できるのは健保だけなので、その役割がとても大切だと思っています。家族支援ということが、これからはどこの健保でも一致した方向性になってくると思います。

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データヘルスは、
「会社」「健保」「社員」三位一体の取り組みです
――「JAL Wellness 2016」は、まさに現在国が推進しようとしている「データヘルス」の考え方で会社と健保がいっしょになって進めてきたプロジェクトなんですね。社員や家族の健康を守るということが会社のテーマにもなったというのは、どんな感じですか。
浦井これまで健保というのは、病気になったときに使うところ、保養施設などが利用できるもの、くらいの感覚しかもたれていませんでした。それが会社といっしょに取り組むことによって、社員の意識は変わってきたと思います。
会社と健保が同じ目線で、同じ目標に向かって活動できることにより、1+1が3にも4にもなる、波及効果がでてくると思います。
データヘルスは経済産業省と厚生労働省がいっしょにガイドラインを出していますので、これからは会社と健保がいっしょに社員の健康を守っていくことが社会的責任でもあるということがはっきり打ち出されたといえます。
――やっとそういう時代がきたんですね。健保としてのこれからの目標は何ですか。
浦井もちろん、女性の健診受診率をもっとあげていきたいということです。また、女性社員にも男性社員にもご家族にも、判りやすい根拠を示し、5年後10年後、その先ずっと健康な生活を送るために今が大切なんだということがわかっていただく広報活動を続けていきたいですね。
また、健診機関の方や健康保険組合同士の連携をとりあい、職場での取り組みを具体的にしていく仲間を増やしたいですし、社会全体の健康への気運があがってくれればいいと思っています。
そしてこうした活動を続けることで、最終的に皆さんがご自身で健康的な生活を実践できるようになっていただきたい。「自分の健康をデザインできる人」になっていただきたいというのが、私たちが目指しているものです。

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