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Case 4

今やすっかり定着した観のある「イクメン」という造語を、私が使い始めたのは9年ほど前(2006年頃)のこと。その少し前の厚生労働省の調査から、女性が結婚相手に求める条件は、「家事育児を手伝う」が2位で、「容貌・容姿」の4倍に達することがわかり、「イケメンにはなれないけれど、イクメンにはなれる!」と、とっさに出たひとことが始まりでした。
とはいえ、当時、長男の誕生に合わせて育休をとった私を見る周囲の目は、(自慢にもならない日数だったのに)“珍獣”扱いでした。それでも今、出勤前に赤ちゃんを抱っこして保育園に向かう「イクメン」の姿は、珍しくなくなりました。今回は、そんな今どきパパからのご相談です。

[相談]

パパネットワークを立ち上げるときの注意点は?

S・Sさん(30代男性・IT企業勤務)

子どもが生まれたのをきっかけに、先輩パパ社員と立ち話をするようになりました。会社で、家庭や子育ての話ができると、なにか安心できたり、ほっとしたりするものだなと、発見しました。そこで、パパコミュニティを社内に立ち上げようと思っています。
社は、「特別な協力はできないが、会議室をつかってのランチ会などは自由に」というスタンスなので、やってみようじゃないか!と思っています。すでにこういうことをしている会社や、自ら立ち上げた先駆者とか、きっと渥美さんはご存じだと思います。「子どもの写真を持って集まるといい」とか、「失敗談を打ち明ける場になると盛り上がる」とか、あるいは「妻の悪口大会にはしないように」(笑)など、なにかアドバイスがあればぜひお聞かせください。

[渥美]

おすすめはイベント型のネットワークづくり。
マニアックな知識やスキルの習得も人気です

イケメンならぬイクメンに端を発し、厚生労働者が「イクメンプロジェクト」を立ち上げたのは2010年6月。その頃すでに、「社内にイクメンネットワークを作りたいので、研修をしてほしい」といった、コンサルのご依頼はありました。
ただ、この5年間で明らかに変わったなと思うのは、集まるメンバーの顔ぶれです。かつては、ライフ重視のマイペース社員、スローライフ社員といったタイプが多かったのですが、最近は、エース社員と思しき男性たちが、「この集まりのために業務を定時で終えてきました!」と、駆けつけてきます。ですから、S・Sさんの発案も、きっと多くの賛同を得ると思います。
その上で、これまで数々のネットワークづくりを見てきた経験からお話します。
まず、女性たちは、場さえ提供すれば、自分たちの力で会を盛り上げ、ネットワークを発展させていきます。これは、ワーキングマザーに限りません。
一方、男性たちは、漠然と集まっても盛り上がらず、私のようなしたり顔の講師の話をじっと聞いているのも苦手です。どちらかというと皆さんのほうが教えたがりで、一緒に行動することで絆を深める傾向があることから、イベント型のネットワークづくりが向いているようです。
そこで、「子どもの写真を持って集まる」は糸口としてとてもいいので、もう一歩、アクティブな企画にしてはいかがでしょうか。例えば、「パソコンのフリーソフトを使って、家族の写真や動画を1本の作品にしよう」といったイベントにします。講師は、カメラや編集ソフトに強いパパ社員です。メンバーを募る際、趣味や特技を聞き、講師候補を把握しておくといいでしょう。
男性は、そういうマニアックな知識やスキルの習得がけっこう好きです。こちらの会社は会議室を使ってもいいと寛大ですから、週1のランチタイムに集まり、1か月後に発表会を開くとか。私なら、「奥さんの感想も発表しよう」と提案するでしょうね。すると、「作品づくりのために子どもと接する時間が増え、わが家もようやく母子家庭状態を脱しました」なんて、辛辣なコメントが出たりして、「うちも同じ!」と絆が深まる。
部長クラスの先輩パパ社員を、オブザーバーに招くのもいいでしょう。「うちも手を焼いたけれど、思春期を過ぎたら、いたわってくれるようになった」とか、子育てに見通しがつきます。
「失敗談」や「妻の悪口大会」も盛り上がるでしょうね! まあ、表向きは「悪口」ではなく、「愚痴」くらいにしたほうが無難だと思いますが(笑)。私もそうですが、男性って、自分は人よりやっているほうだと思っているんですよね。でも、奥さんは「まだまだ甘い!」と、ハードルを上げてきますから。

熱中するあまり
本末転倒にならないように。

そのほか、タイムマネジメントに関する情報交換も、パパネットワークでは喜ばれるようです。「こういう工夫でチームを回したら、誰もが早めに帰れるようになった」などのノウハウを共有する。そんなふうに、働き方の改善にもつながる活動なのだとわかると、会社はパパネットワークに一目置くようになります。さらに、社内のワーママネットワークと連携すれば、マイノリティが多数派に転じるでしょう。
注意点があるとすれば、社内SNSのようなバーチャルネットワークを立ち上げることがあると思いますが、熱中しすぎないことでしょうか。けっこうはまる男性は多く、帰宅するなり書き込みに没頭したりする。なので、時間があったら子どもと遊んでください、妻の愚痴を聞いてくださいと、クギを刺しておく必要があるでしょう。
同じような意味で、ネットワークの場を飲み会にするのはどうかな、とは思います。先の「イクメンプロジェクト」をスタートさせる際、記者会見が夕方からありました。私は、立ち上げメンバーにもかかわらず、息子たちのお迎え当番だったために欠席しました。そうしたら事務方に、「大臣が(わざわざ時間を割いて)出るのに、(大臣より暇なあなたが)なぜ?!」みたいに驚かれました。私は、イクメンを推奨しながら、子どもを遅くまで預けるのはどうなのか、本末転倒に感じただけなのですが。
ところで、子育ての世界では、社内の上下関係や力関係は白紙に戻ります。1歳児のパパより、4歳児のパパ、さらには子どもが3人、4人いるパパのほうがエライ。男性には「上長には意見しづらい」などあるようですが、子どもの年齢と人数で序列が決まることをお忘れなく。
さて、今回の一句は、パパネットワークの成功を祈ってひねり出しました。ただ、女性陣の“念”を感じて、なんだかなあという出来になってしまってすみません(苦笑)。

グッチより 愚痴聴くパパに 妻嬉し
「いやいやグッチのバッグもちょうだい」

タイトルイラスト 丸山誠司
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