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日本総研 研究員レビューVOL.2

女性の活躍推進に向けた施策
東京圏で暮らす高学歴女性の
働き方等に関するアンケート調査結果(報告)」より
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ESGアナリスト 小島 明子

小島 明子 (こじま あきこ)
株式会社日本総合研究所 日本総合研究所創発戦略センター/ ESGリサーチセンター ESGアナリスト
金融機関を経て、株式会社日本総合研究所に入社。環境・社会・ガバナンス(ESG)の観点からの企業評価業務に従事。
その一環として、女性を含む多様な人材の活躍推進に関する調査研究、企業向けの女性活躍推進状況の診断を行っている。
未だに低い女性役職者比率の現状
 2015年12月に閣議決定された第四次男女共同参画基本計画では、民間企業における女性の登用を促進するために、「民間企業の課長相当職に占める女性の割合を15%」、「民間企業の係長相当職に占める女性の割合を25%」、という成果目標が設定されました。
内閣府(男女共同参画白書平成28年版)によれば、2015年時点の課長相当職に占める女性の割合は9.8%、係長相当職の占める女性の割合は17.0%であり、非常に低いのが現状です。
 では、女性の役職者の比率の水準を、成果目標に近づけていくためには、企業はどのような視点に配慮し、施策を行っていけば良いのでしょうか。
ライフイベントを経て変化する女性の労働価値観
 株式会社日本総合研究所では、2015年に東京圏で暮らす大卒以上の女性に対して、働き方に関するアンケート調査を実施しました。その際に、日本総合研究所では、労働価値観に着目し、就業を巡る意思決定には、「外的報酬に対する欲求」、「内的報酬に対する欲求」、「ハードワークに対する許容度合い」の3つが影響すると考え、9つの設問を用意し、就職活動時点(図表①)とアンケート回答時点(図表②)における自身の考えについて尋ねました。就職活動時点に比べて、アンケート回答時点では、結婚や出産等のライフイベントを経験している女性も増えているという点が大きな違いとなります。

図1 労働価値観に関する質問に対する回答分布(就職活動時点)

図2 労働価値観に関する質問に対する回答分布(アンケート回答時点)
多くの女性が「昇進よりやりがい」を重視
 本稿では、上記の調査の結果から得られた主に3つの特徴を紹介します。1つ目は、女性は、「外的報酬に対する欲求」のなかで、出世・昇進に対する関心は必ずしも強くはないことが挙げられます。2つ目は、「内的報酬に対する欲求」は非常に強く、自分の能力やスキルを発揮したいと考える女性は多いということが挙げられます。3つ目は、「ハードワークに対する許容度合い」が、就職活動時点に比べて、アンケート回答時点は大きく低下することに比べ、「内的報酬に対する欲求」についてはほとんど変化がないことが挙げられます。
時間に制約のある女性でも
難易度の高い仕事ができる職場環境の整備が必要
 前述した特徴からは、出世や昇進に対する関心はないが、仕事へのやりがいを求める女性は多いということ、さらに、結婚や出産等のライフイベントによって、働く時間に制約は出てきてしまうものの、仕事へのやりがいを求める気持ちを低下させる要因にはならないという仮説が導かれます。
 女性は、出世や昇進に関心がない故に、上司から仕事への意欲がないなどと誤解を受けることがあります。育児休業から復帰した後に、短時間勤務を選択して働くようになると、益々そのような見方をされることも少なくありません。しかし、テレワークを可能とするなど、時間に制約がある女性であっても、難易度の高い仕事ができる環境を整備すれば、管理職など難易度の高い業務を行える可能性があります。加えて、自分の能力やスキルを発揮したい女性の多さを考慮すれば、特定の分野や部署等で専門家として働き続けられ、管理職になれるようなキャリアコースの整備を行うことも一案です。
 今後、女性の活躍を進める上で、女性の労働価値観という視点に配慮すると、より効果的な施策が考えられるのではないでしょうか。
*調査結果レポートについて、詳しい内容をご覧になりたい方は、日本総合研究所ホームページに掲載をされています「東京圏で暮らす高学歴女性の働き方等に関するアンケート調査結果(報告)」をご覧ください。
https://www.jri.co.jp/MediaLibrary/file/column/opinion/pdf/151118_tokyoken.pdf
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